部屋とネルシャツと私

所謂「プロジェクト」を掘り下げると見えてくるのは「人」である・・・ みたいなノリのチラシの裏です( ͡° ͜ʖ ͡°) 今、Voicyが熱い!!

アメリカ海兵隊(非営利型組織の自己革新)

2016年2回目の投稿。最近サボり杉で放置blogとなっています・・・

先日、当blogの序盤に書いた野中郁次郎先生らの「失敗の本質」を書いたのが最も良く読まれている記事となっていることに気づき、野中先生の研究がスクラムAgile開発のひとつであるScrumは、元々のネーミングは野中先生の論文からだった)の誕生にどのように繋がっているのかを追ってみるのが個人的な研究テーマになっていたにもかかわらず、途中のまま放置していたことを思い出し、慌てて当記事を書いているという訳であります。

念のためリンクを置いておきます。


ということで、経営学の分野で世界的に著名なDr.Nonakaこと野中郁次郎先生が、何故「知識創造企業」「SECIモデル」「スクラム」に至ったかのか。昔の日本の製造業の何が世界に誇る強みだったのか。イノベーションを起こす組織の必要条件とは。を紐解くには、『失敗の本質』に続いて、アメリカ海兵隊に目を向ける必要があるのだ。

それほど長い本でもなかったので、当記事では、読んで分かったポイントを自分なりにまとめてみた。

 

アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)

アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)

 

 

 

 日本軍とアメリカ海兵隊

 

先の第二次世界大戦における、アメリカとの戦争に日本軍が敗退した理由はいろいろあるが、『失敗の本質』では日本軍の組織的な特徴が個別の作戦失敗の共通した理由にあることが書かれている。その個別作戦のうち、ガダルカナル戦の敗因分析の際に、日本軍が対峙したのはアメリカの陸軍でも海軍でもなく、水陸両用の海兵隊だったことが、野中先生の研究において掘り下げるキッカケであったとの事だ。

海兵隊は水陸両用なのだが、実はこれは元々ではなく、日本軍と戦っている最中にコンセプトを作り直して組織として進化した結果だというのだ。そんな戦いながら自らを進化させるアメリカ海兵隊が、組織が自らを進化させた実例として、野中氏の研究テーマになったなったとのことである。

なお、日本と海兵隊は歴史的に因縁が深いらしい。ペリー提督率いる東インド艦隊が浦賀に来た際に上陸したのは海兵隊であり、ガダルカナル戦はもちろん、沖縄陸上戦で戦った相手も海兵隊であった。

 

 

 アメリカ海兵隊の歴史

 

私は軍事素人であるが、一般的に海軍・陸軍・空軍が存在していることは知っている。よくマリーンと言われるのは海軍だと思っていたが違うらしく、マリーンは「海兵隊」のこと。海軍はネイビー(確かに言われてみれば)。

元々、陸海空でそれぞれ軍隊がある中に、アメリカ海兵隊ができたのは1700年代後半の独立戦争の時で、最初は酒場でならず者を寄せ集めただけの集団だったと聞く。ちなみにそもそもの海兵隊はイギリスを真似ただけで決してアメリカ独自のものでもない。

その後、1800年代の南北戦争など、陸軍をお手伝いしたり、船上の治安を守る警察的なことをしたり、常にその存在は危ぶまれながらも生き残っていく。1900年代前半の第一次世界大戦でも飛行団を結成して果敢に戦い、約7万人の国民に認められる海兵隊に育っていった。

そして第二次世界大戦で、日本軍との戦い(ガダルカナル・硫黄島・沖縄など)を中心に26回の上陸作戦を経て水陸両用のコンセプトと方法論を完成させるまでに至り、アメリカ海兵隊は大活躍。大戦後も朝鮮戦争ベトナム戦争海兵隊は重宝されたようだ。

現在の沖縄、何かと問題・事件が取りざたされるが、普天間基地海兵隊が駐留しているのはご存知の通りである。

 

 

この歴史の中でも、この野中先生が特に目をつけた「進化する組織、イノベーションを起こす組織」であったことが分かりやすいのが、第二次大戦中の日本戦で水陸両用部隊に進化してことであった。

 

 

 

 アメリカ海兵隊は自己革新組織

 

この「アメリカ海兵隊」の本の言葉をそのまま流用すると、アメリカ海兵隊は自己革新組織である、ということだ。

自己革新組織とは、絶えず自ら不安定性を生み出し、そのプロセスの中で新たな自己創造を行い、飛躍的な大進化としての再創造と連続的で漸次的な小進化を、逐次あるいは同時におこなうダイナミックな組織なのである。

第六章 組織論的考察ー自己革新組織 より抜粋

アメリカ海兵隊は引用した自己革新組織の要件を満たしていた。この引用部分にある進化とは、新しい情報や知識を組織的に学習していくことであり、正に「知識創造企業」や「SECIモデル」に繋がる話である。海兵隊も、毎回毎回組織としての存続の危機に晒されながら、自分たちはどうあるべきかというコンセプトまでも作り直し、学習しながら水陸両用の戦い方を身につけ、しかも暗黙知から形式知として組織的に進化するプロセスを経ていたのだ。

同じ失敗を繰り返す日本軍に対して、失敗しても自らを進化させ相手を乗り越えていく海兵隊という、両者の組織としての違いが今回のとても重要なポイントである。

 

 

 

 ということで、

 

『失敗の本質』『アメリカ海兵隊』の研究を経て、野中郁次郎氏は、竹内氏と共に、知識創造企業を発表する。また、ほぼ時を同じくして(1986年)、同じく論文"The New New Product Development Game"をハーバードビジネスレビュー誌に掲載されるのだが、この論文の中にスクラムの語源が登場するのである。

続きを乞うご期待。

 

いつになることやら(;´∀`)